ROWS17話目。実質の冒険は…これで最終話なのかな。
2007/10/29 21:28:26
えー。今日は歯医者で銀歯を詰めてきました。
腕の良い歯医者さんなのですが…私の歯並びの問題か…
なんか違和感があります。次の予約は11月中頃なので…その時に話そうかな。
SHライブのレポートは……書きたいけど、もちっとまって。
どうも色んな所をみてると、来たゲストも違うみたいですしね。
というわけで、今日は書き進めていたROWSをやりました。
殆ど…同人ゲーだとかで時間潰していたのは、君と私だけの内緒だけど(ぉ
とりあえず、冒険自体は…これで最終回。
あとは戦ったりしないぞ、うん(何
長いお話しにそろそろピリオドを打って、冒険に出たいのです(ぁ
勿論お話しを作るのも楽しいですから、いいんですが…
やっぱりネタを探さないとね?w
まぁ、なんやかんやで作り続けてきたお話し。
見たい人は見てやってくださいm(__)m
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腕の良い歯医者さんなのですが…私の歯並びの問題か…
なんか違和感があります。次の予約は11月中頃なので…その時に話そうかな。
SHライブのレポートは……書きたいけど、もちっとまって。
どうも色んな所をみてると、来たゲストも違うみたいですしね。
というわけで、今日は書き進めていたROWSをやりました。
殆ど…同人ゲーだとかで時間潰していたのは、君と私だけの内緒だけど(ぉ
とりあえず、冒険自体は…これで最終回。
あとは戦ったりしないぞ、うん(何
長いお話しにそろそろピリオドを打って、冒険に出たいのです(ぁ
勿論お話しを作るのも楽しいですから、いいんですが…
やっぱりネタを探さないとね?w
まぁ、なんやかんやで作り続けてきたお話し。
見たい人は見てやってくださいm(__)m
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凶風を祓う旅 ~RO World Seeker~
第17話 過ぎた力の代償
準備は整った。
「まてっ!」
私は大声を上げた。
「何っ!?貴様、何故生きている!
まあ…いい…もう会うこともあるまい」
左手で傍らの袋を、右手でポケットから何かをとりだそうと…
その動きを予見して、私はベナムナイフをその何かに向けて投げつけた!
ドズッ
「うわっ!!」
狙い通り、投げつけたベナムナイフは、幹部の手の中にある蝶の羽を貫き、壁に突き刺さった。
蝶の羽は、貫いたナイフの勢いと、それを握りしめていた握力で千切れてしまった。
毎度の如く蝶の羽で逃げられては敵わない。
用事を済ませれば、若しくはどうせ逃げると考えていたので、
何らかの方法で蝶の羽を損ねてやろうと思っていた。
取り出す手元を狙ってナイフを投げつける作戦は大成功だった。
複数枚持っているという可能性も否定は出来なかったが、
その狼狽ぶりから、今のが最後の1枚だということは明らかだった。
「なんと言うことだ…」
「いつもいつも、逃げられるだなんて思うな。
毎回追いかける身にもなってみろよ…まったく。
とりあえず、準備不足が祟ったようだな」
「これで袋の鼠ってやつかな?」
「何故プリースト……一人で来たのでは…?
そうか貴様、喚べたのか。それで生き延びたと……」
「それだけじゃないがね。幸運が重なったんだ」
「なるほど……じゃあ私は貴様らをどうにかしなければ、
この場から立ち去ることすらできない、そう言いたい訳か」
不穏な自信を見せる幹部。
まだなにか、私が見落としている切り札があるというのか。
しかし、それに臆したところで状況が変わるはずもない。
「そうだ。それに私はお前…と違って、準備が良いんでね。
蝶の羽は5つ持ちあるっている。私を倒せれば帰れるかもしれないぞ?」
更に煽ってみる。
しかし、それを聴いて幹部はにやりと笑った。
「それを聴いて安心した。
倒せば、帰れる。シンプルでいいな。ではそうさせて貰おう」
幹部は壁に掛けてあった2本の剣…これもSwordianだった…
その内の1本をおもむろに掴んだ!
「えっ!!」
「アレって掴んだら操られるんだよね!?」
「そうなるはず…」
私達は自らの意志でSwordianを取った男に驚愕した。しかし、
「ふふふ。何を驚いている?
それでは、帰らせて貰おうか!」
そう言いながら薙いだ一閃は、今までのSwordian使いの中でも特に鋭かった。
そしてそれ以上に、自らの意志を保っていることに更に驚かされた。
「うわっと!…何故!?自我を保っていられる!」
「流石にそこまでは知らなかったようだな。
発信器を持っている者は、Swordianの剣の技量はそのままに、
意識を乗っ取られる事はなくなるのだ。
勿論皆にはそれをさせないように、触らせないよう示唆させていたが。
ふふふ…開発者たる、私しか知らない秘密だ」
「開発者……?もしや、レジメンス、か?」
「いかにも。私がレジメンスだ。
どこでその名を知った?」
「レゲンシュルム研究所の隠し部屋。
そこにあった隠し棚等から得た情報に…あんたの名が記されていた」
あの記録を書いていた男が、こいつか。
こいつの発案があって、今までの悲劇を生んでいたということになる。
「…なるほど、そういえば回収を忘れていた、か……
それを手がかりに追ってくるとは…流石に想像の範囲外だった。
ともあれそれを読んだのならば…
私の研究で意図する部分も何となく想像できるだろう?」
「…倒しても倒しても、新たに味方の内から現れる敵、か」
「うわ。それって最悪かも……」
「そうだ。10人にこれを持たせて戦地に向かわせれば、
10人の兵は1人として減ることなく、相手を打ち破るだろう。
メンバーの入れ替えはあれども、時間も多少かかろうとも、
最終的にはこの兵器は戦いを終焉へと導いてくれる」
「そんな戦いが、今どこで起きているっていうんだ!」
少なくとも、ルーンミッドガッツ王国とシュヴァルツヴァルド共和国は、
表面上は同盟…とまではいかずとも、不可侵ならびに協力体制にはある。
そして、大統領自身もそのような事にはさせないとも言及している。
ならば…未開の地?まさか…?
「不思議そうな顔をしているな。折角だから教えてやろう。
シュヴァルツヴァルド共和国の更なる西方。
宗教国家アルナベルツ教国がある。今は国境が閉ざされているがな。
そこからのオーダーだ」
閉鎖的な国であるが故、殆ど情報が入ってこない国。
秘密裏に何をやっていても、確かに不思議ではない。
「私は今回の結果を持ち帰り、名誉と報酬をアルナベルツ教国から得る。
そしてまたユミルの心臓を用いた、新たな研究をするつもりだ。
力の源、無から有を生み出すなど、素晴らしい研究ではないか」
「研究は確かにすばらしい。けれどその力の向け方が誤ってる!」
「無から有を出せるんだったら、もっと良いことが出来るはずなのに。
お菓子とか…ケーキとかが…」
私とティオーレは口々に(片方は何処か違う)異論を挟んだ。しかし、
「それは偽善者の戯言というものだ。
それに……力というものは、振るってこそ力ではないか!」
そう言うと、幹部……レジメンスは小さく呟いた。
その刹那、Swordianが紅蓮の炎を放った。
「うぉっ!属性付与…?!ってことは…」
「そうだ。私は研究者だが、プロフェッサー…それも実戦派として、
未だ一線で戦っているのだ。だから…剣の心得も当然…あるっ!」
レジメンスは燃えるSwordianを振りかざし、袈裟斬りを放つ!
ガァン!!
ドォン!!!
けたたましく響く金属音と、炸裂音。
「私だけじゃ絶対無理だな、こりゃ…」
「今のがソウルブレイカー…なのか?」
私はレジメンスの一撃を、ティオーレに予めかけて貰っていたキリエエレイソンで凌ぎ、
接敵時にゼロブレイカーを放つ作戦に出た。
しかし敵もさることながら、突き出されたフォーチュンソードをすんでの所で避け、
魔法的な威力は喰らったものの、その直撃を免れた。
しかし、その威力にレジメンスも流石に驚いたらしい。慌てて間合いを取る。
ティオーレもその様子を見て、既にキリエエレイソンの重ねがけの詠唱に入っている。
直撃さえ耐えられれば、それは大きな隙が敵に出来ることになる。
喰らいながらのカウンター。タイミング良く支援を貰えるからこそ、
そして相手が一人しか居ないからこそ取れる作戦だ。
「だが、それならそれで、近づけさせなければ良いだけのこと。
もがく程絡め取られる、魔力の糸を受けて見ろ!」
レジメンスは自由な左手、その指先を私達に向けると、
そこから白い糸が放たれる!
糸は網状になり、私達に覆い被さってくる。
「くっ」
「あー!なんなのよこれー!?」
フォーチュンソードで斬ろうとするが、粘ついて中々切れそうもない。
ティオに至っては杖を振り回すが、既に右腕を絡め取られつつある。
私も現実に見るのは初めてだったのだが、
これはプロフェッサーのスパイダーウェブという、
相手の動きの自由を奪う魔法だった。
かけられた者は、糸が引火性のものらしく、火属性での攻撃を受けると、
更なるダメージを負わされることになる。
奴の持っている武器も、今は火属性。
動きを封じられつつの大きな一撃を食らい続けるのは、
後ろにティオーレが控えているとはいえ、じり貧になってしまう。
こうなったら…!
「とりあえず、これで燃えて貰おうか」
「すまんティオ!耐えてくれ!」
「え!?何???」
私はハイディングで隠れ、爆炎のカタールに持ち替えた!
間髪入れずグリムトゥースを放ち続ける!
多分地上には、レジメンス目掛けて炎に包まれた大地の槍が穿たれていることだろう。
アサシンの使う四属性のカタールには、
それぞれ相手の行動を阻害する能力が付与されており、
私が取りだした爆炎のカタールには、相手の行使できる技を阻害する能力があるのだ。
当たっていれば……奴の力の大半を削ぐことが出来るはず…
そう思いつつ、私は姿を現した。
「熱いってば!!何すんのよ!」
地上に戻った私に、ティオーレは罵声を浴びせた。
炎にその身を焼かれながら、必死で自分にヒールを行って耐えていた。
「悪い。でも奴の魔法を封じるにはあのタイミングではアレしか…」
そう言いながら、燃え尽きつつある糸からティオーレを引きずり出す。
そしてその肝心のレジメンスはというと…
「くっ…此処で魔法を封じられるとは…」
どうやら私の試みは成功していたらしい。
歯噛みをしつつ、私を睨む。
「とりあえず、これであんたの打つ手は無いんじゃないか?
こっちは回復が飛ぶ間はあんたに負ける事はない。
そのうちフレイムランチャーの効果も切れるだろうし。」
「それは貴様だって同じだろう!」
苛立ちからか、怒鳴るレジメンス。そんな奴に私は言う。
「判ってないな。
私がこの爆炎のカタールで攻撃している間は、ずっと魔法は使えないまま。
技量が仮に私よりも高かろうが、さっきも言ったように支援のある私は、負けない」
「ぐ……む………」
「大人しく投降しなよ。
無益な殺生は、私自身好む所じゃないんだ。
もっとも、牢獄暮らしにはなると思うが、な…?」
冒険者の類の犯罪者は、元々特異な能力を持ってる連中だけに、
その能力が使えない結界の中に閉じこめられる。
つまりは、捕らえられたら何かしらの手引きでも無い限り…
外に出ることは叶わないのだ。
それを察したのか、レジメンスは、
「それでは、私の研究が続けられ無くなるではないか!
他の奴等のユミルの心臓を用いた研究に、私が劣る事になるではないか!
私は、これからも、人心を操り、我が意のままに、使うのだ!
大した力もなく、権力を得、私を蔑んだ、カールの奴を、
いつか、跪かせる為に、なっ!!」
言葉尻も怪しく、壁にかけられていたもう一本のSwordianへ向け駆け出す!
「旦那っ!止めないとっ!!」
「しまったっ!」
あんなモノを二本も持たされたら……。
二刀流を用いている私ら暗殺者にとって、
一撃の威力が跳ね上がる、二刀流の危険性は良く判る。
慌てて私はベナムナイフを投げつけ…命中させるも、
レジメンスは呻きもせずSwordianを掴む!
その瞬間
ポフッ
「グォオオァアアアアガガガガアアァーーーーッ!!」
レジメンスが着けていた…襟元の発信器が、小さな音を立て爆発し…
レジメンスはこの世の者とも思えないほどの絶叫を上げ、
二本のSwordianを床に叩きつけた!
ドゴンッ!
床が激しく陥没する!
その威力はすさまじいモノだ。
「だ、旦那!何が起きてるのよっ!?」
「……きっと、この発信器…1本のSwordianの制御で精一杯なんだ。
逆上した奴が2本持ってしまったから…」
「…大暴走?」
「そう、だと思う。とにかく危険だ!
ポータル、出せるかっ!?」
「いいのっ?」
「あぁ、アレでは…手が付けられそうにない。
勝手に自滅して……いかん!こっちに来るぞっ!」
Swordianは敵を倒すべく作られたモノ。
そして衝動に突き動かされた暴走中の奴にとって…
動く者はすべからず敵なのだろう。
凄まじい勢いでレジメンスは間合いを詰めてくる。
異常な不可が掛かっているのだろう。
見える足、腕には異様なほどに血管が浮き出て、
一部からは血を流してもいる。
「まだかっ!」
「もう少しっ!」
「くっ…何か無いの…」
無駄と思いつつ、自らの懐を探る。
と、固い何かが指先に触れた。
これだ!
私はそれを掴み、レジメンス目掛けて投げつけた!!
そして私の視界は、見たことのある白い世界に包まれた………
第17話 過ぎた力の代償
準備は整った。
「まてっ!」
私は大声を上げた。
「何っ!?貴様、何故生きている!
まあ…いい…もう会うこともあるまい」
左手で傍らの袋を、右手でポケットから何かをとりだそうと…
その動きを予見して、私はベナムナイフをその何かに向けて投げつけた!
ドズッ
「うわっ!!」
狙い通り、投げつけたベナムナイフは、幹部の手の中にある蝶の羽を貫き、壁に突き刺さった。
蝶の羽は、貫いたナイフの勢いと、それを握りしめていた握力で千切れてしまった。
毎度の如く蝶の羽で逃げられては敵わない。
用事を済ませれば、若しくはどうせ逃げると考えていたので、
何らかの方法で蝶の羽を損ねてやろうと思っていた。
取り出す手元を狙ってナイフを投げつける作戦は大成功だった。
複数枚持っているという可能性も否定は出来なかったが、
その狼狽ぶりから、今のが最後の1枚だということは明らかだった。
「なんと言うことだ…」
「いつもいつも、逃げられるだなんて思うな。
毎回追いかける身にもなってみろよ…まったく。
とりあえず、準備不足が祟ったようだな」
「これで袋の鼠ってやつかな?」
「何故プリースト……一人で来たのでは…?
そうか貴様、喚べたのか。それで生き延びたと……」
「それだけじゃないがね。幸運が重なったんだ」
「なるほど……じゃあ私は貴様らをどうにかしなければ、
この場から立ち去ることすらできない、そう言いたい訳か」
不穏な自信を見せる幹部。
まだなにか、私が見落としている切り札があるというのか。
しかし、それに臆したところで状況が変わるはずもない。
「そうだ。それに私はお前…と違って、準備が良いんでね。
蝶の羽は5つ持ちあるっている。私を倒せれば帰れるかもしれないぞ?」
更に煽ってみる。
しかし、それを聴いて幹部はにやりと笑った。
「それを聴いて安心した。
倒せば、帰れる。シンプルでいいな。ではそうさせて貰おう」
幹部は壁に掛けてあった2本の剣…これもSwordianだった…
その内の1本をおもむろに掴んだ!
「えっ!!」
「アレって掴んだら操られるんだよね!?」
「そうなるはず…」
私達は自らの意志でSwordianを取った男に驚愕した。しかし、
「ふふふ。何を驚いている?
それでは、帰らせて貰おうか!」
そう言いながら薙いだ一閃は、今までのSwordian使いの中でも特に鋭かった。
そしてそれ以上に、自らの意志を保っていることに更に驚かされた。
「うわっと!…何故!?自我を保っていられる!」
「流石にそこまでは知らなかったようだな。
発信器を持っている者は、Swordianの剣の技量はそのままに、
意識を乗っ取られる事はなくなるのだ。
勿論皆にはそれをさせないように、触らせないよう示唆させていたが。
ふふふ…開発者たる、私しか知らない秘密だ」
「開発者……?もしや、レジメンス、か?」
「いかにも。私がレジメンスだ。
どこでその名を知った?」
「レゲンシュルム研究所の隠し部屋。
そこにあった隠し棚等から得た情報に…あんたの名が記されていた」
あの記録を書いていた男が、こいつか。
こいつの発案があって、今までの悲劇を生んでいたということになる。
「…なるほど、そういえば回収を忘れていた、か……
それを手がかりに追ってくるとは…流石に想像の範囲外だった。
ともあれそれを読んだのならば…
私の研究で意図する部分も何となく想像できるだろう?」
「…倒しても倒しても、新たに味方の内から現れる敵、か」
「うわ。それって最悪かも……」
「そうだ。10人にこれを持たせて戦地に向かわせれば、
10人の兵は1人として減ることなく、相手を打ち破るだろう。
メンバーの入れ替えはあれども、時間も多少かかろうとも、
最終的にはこの兵器は戦いを終焉へと導いてくれる」
「そんな戦いが、今どこで起きているっていうんだ!」
少なくとも、ルーンミッドガッツ王国とシュヴァルツヴァルド共和国は、
表面上は同盟…とまではいかずとも、不可侵ならびに協力体制にはある。
そして、大統領自身もそのような事にはさせないとも言及している。
ならば…未開の地?まさか…?
「不思議そうな顔をしているな。折角だから教えてやろう。
シュヴァルツヴァルド共和国の更なる西方。
宗教国家アルナベルツ教国がある。今は国境が閉ざされているがな。
そこからのオーダーだ」
閉鎖的な国であるが故、殆ど情報が入ってこない国。
秘密裏に何をやっていても、確かに不思議ではない。
「私は今回の結果を持ち帰り、名誉と報酬をアルナベルツ教国から得る。
そしてまたユミルの心臓を用いた、新たな研究をするつもりだ。
力の源、無から有を生み出すなど、素晴らしい研究ではないか」
「研究は確かにすばらしい。けれどその力の向け方が誤ってる!」
「無から有を出せるんだったら、もっと良いことが出来るはずなのに。
お菓子とか…ケーキとかが…」
私とティオーレは口々に(片方は何処か違う)異論を挟んだ。しかし、
「それは偽善者の戯言というものだ。
それに……力というものは、振るってこそ力ではないか!」
そう言うと、幹部……レジメンスは小さく呟いた。
その刹那、Swordianが紅蓮の炎を放った。
「うぉっ!属性付与…?!ってことは…」
「そうだ。私は研究者だが、プロフェッサー…それも実戦派として、
未だ一線で戦っているのだ。だから…剣の心得も当然…あるっ!」
レジメンスは燃えるSwordianを振りかざし、袈裟斬りを放つ!
ガァン!!
ドォン!!!
けたたましく響く金属音と、炸裂音。
「私だけじゃ絶対無理だな、こりゃ…」
「今のがソウルブレイカー…なのか?」
私はレジメンスの一撃を、ティオーレに予めかけて貰っていたキリエエレイソンで凌ぎ、
接敵時にゼロブレイカーを放つ作戦に出た。
しかし敵もさることながら、突き出されたフォーチュンソードをすんでの所で避け、
魔法的な威力は喰らったものの、その直撃を免れた。
しかし、その威力にレジメンスも流石に驚いたらしい。慌てて間合いを取る。
ティオーレもその様子を見て、既にキリエエレイソンの重ねがけの詠唱に入っている。
直撃さえ耐えられれば、それは大きな隙が敵に出来ることになる。
喰らいながらのカウンター。タイミング良く支援を貰えるからこそ、
そして相手が一人しか居ないからこそ取れる作戦だ。
「だが、それならそれで、近づけさせなければ良いだけのこと。
もがく程絡め取られる、魔力の糸を受けて見ろ!」
レジメンスは自由な左手、その指先を私達に向けると、
そこから白い糸が放たれる!
糸は網状になり、私達に覆い被さってくる。
「くっ」
「あー!なんなのよこれー!?」
フォーチュンソードで斬ろうとするが、粘ついて中々切れそうもない。
ティオに至っては杖を振り回すが、既に右腕を絡め取られつつある。
私も現実に見るのは初めてだったのだが、
これはプロフェッサーのスパイダーウェブという、
相手の動きの自由を奪う魔法だった。
かけられた者は、糸が引火性のものらしく、火属性での攻撃を受けると、
更なるダメージを負わされることになる。
奴の持っている武器も、今は火属性。
動きを封じられつつの大きな一撃を食らい続けるのは、
後ろにティオーレが控えているとはいえ、じり貧になってしまう。
こうなったら…!
「とりあえず、これで燃えて貰おうか」
「すまんティオ!耐えてくれ!」
「え!?何???」
私はハイディングで隠れ、爆炎のカタールに持ち替えた!
間髪入れずグリムトゥースを放ち続ける!
多分地上には、レジメンス目掛けて炎に包まれた大地の槍が穿たれていることだろう。
アサシンの使う四属性のカタールには、
それぞれ相手の行動を阻害する能力が付与されており、
私が取りだした爆炎のカタールには、相手の行使できる技を阻害する能力があるのだ。
当たっていれば……奴の力の大半を削ぐことが出来るはず…
そう思いつつ、私は姿を現した。
「熱いってば!!何すんのよ!」
地上に戻った私に、ティオーレは罵声を浴びせた。
炎にその身を焼かれながら、必死で自分にヒールを行って耐えていた。
「悪い。でも奴の魔法を封じるにはあのタイミングではアレしか…」
そう言いながら、燃え尽きつつある糸からティオーレを引きずり出す。
そしてその肝心のレジメンスはというと…
「くっ…此処で魔法を封じられるとは…」
どうやら私の試みは成功していたらしい。
歯噛みをしつつ、私を睨む。
「とりあえず、これであんたの打つ手は無いんじゃないか?
こっちは回復が飛ぶ間はあんたに負ける事はない。
そのうちフレイムランチャーの効果も切れるだろうし。」
「それは貴様だって同じだろう!」
苛立ちからか、怒鳴るレジメンス。そんな奴に私は言う。
「判ってないな。
私がこの爆炎のカタールで攻撃している間は、ずっと魔法は使えないまま。
技量が仮に私よりも高かろうが、さっきも言ったように支援のある私は、負けない」
「ぐ……む………」
「大人しく投降しなよ。
無益な殺生は、私自身好む所じゃないんだ。
もっとも、牢獄暮らしにはなると思うが、な…?」
冒険者の類の犯罪者は、元々特異な能力を持ってる連中だけに、
その能力が使えない結界の中に閉じこめられる。
つまりは、捕らえられたら何かしらの手引きでも無い限り…
外に出ることは叶わないのだ。
それを察したのか、レジメンスは、
「それでは、私の研究が続けられ無くなるではないか!
他の奴等のユミルの心臓を用いた研究に、私が劣る事になるではないか!
私は、これからも、人心を操り、我が意のままに、使うのだ!
大した力もなく、権力を得、私を蔑んだ、カールの奴を、
いつか、跪かせる為に、なっ!!」
言葉尻も怪しく、壁にかけられていたもう一本のSwordianへ向け駆け出す!
「旦那っ!止めないとっ!!」
「しまったっ!」
あんなモノを二本も持たされたら……。
二刀流を用いている私ら暗殺者にとって、
一撃の威力が跳ね上がる、二刀流の危険性は良く判る。
慌てて私はベナムナイフを投げつけ…命中させるも、
レジメンスは呻きもせずSwordianを掴む!
その瞬間
ポフッ
「グォオオァアアアアガガガガアアァーーーーッ!!」
レジメンスが着けていた…襟元の発信器が、小さな音を立て爆発し…
レジメンスはこの世の者とも思えないほどの絶叫を上げ、
二本のSwordianを床に叩きつけた!
ドゴンッ!
床が激しく陥没する!
その威力はすさまじいモノだ。
「だ、旦那!何が起きてるのよっ!?」
「……きっと、この発信器…1本のSwordianの制御で精一杯なんだ。
逆上した奴が2本持ってしまったから…」
「…大暴走?」
「そう、だと思う。とにかく危険だ!
ポータル、出せるかっ!?」
「いいのっ?」
「あぁ、アレでは…手が付けられそうにない。
勝手に自滅して……いかん!こっちに来るぞっ!」
Swordianは敵を倒すべく作られたモノ。
そして衝動に突き動かされた暴走中の奴にとって…
動く者はすべからず敵なのだろう。
凄まじい勢いでレジメンスは間合いを詰めてくる。
異常な不可が掛かっているのだろう。
見える足、腕には異様なほどに血管が浮き出て、
一部からは血を流してもいる。
「まだかっ!」
「もう少しっ!」
「くっ…何か無いの…」
無駄と思いつつ、自らの懐を探る。
と、固い何かが指先に触れた。
これだ!
私はそれを掴み、レジメンス目掛けて投げつけた!!
そして私の視界は、見たことのある白い世界に包まれた………
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